ショートショート
はじめの一歩
「うーん……」僕はうなだれていた。目の前には未使用の原稿用紙がある。『僕の空想を表現したい』たったそれだけのことだった。小さな幻想の断片が頭の中にある。それをどう繋げていくのかわからなかった。そもそも僕は空想を現実化させる方法を知らない。僕…
現代小説薄っぺらい人生の味
孤独な山羊
昼休みのオフィス。事務仕事を人段落させ、私は一人で食事をしていた。他の事務員は皆ランチに出かけていた。私が一人で食事をするのはいつものことだ。「こうなるとはわかっていたとは言え、少し寂しいものがあるわね……」私も入社した直後はランチに誘われ…
現代小説ソンタクドータク
フェディバースの観測者
日光が入らない暗い部屋。遮光カーテンに遮られ、今が日中なのか夜なのかわからない。部屋を照らしているのは、パソコンとモニター、そして周辺機器の光。反射光に照らされながら、俺はパソコンで黒い窓を開き、新天地への鍵を入力する。『1xx.xxx.x…
現代小説商人の伝承と聖女の書物
フィスーン地方にある小さな村のはずれで、1人の少女が旅立とうとしていた。「待てよアンドレア!」アンドレアと呼ばれた少女は、足音と誰かがを叫んでいる声を耳にする。アンドレアは1冊の書物を手にしながら、後ろを振り返った。一人の青年が、アンドレア…
ファンタジー小説